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2016年06月28日

できるだけわかりやすく説明してみるという実験:人工生命=ダーウィンの進化論を模倣したアルゴリズム

最近になってまたまた人工知能ブームがやってきたようだ。
やれやれ。

人工知能について騒がれているのはいつも「囲碁で人工知能が人間に勝った」だとか、「Siriの認識率が向上した」だのというように、実学的な話題ばかりで僕は退屈している

かつて、人工知能ブームが去った後に、「人工生命」というものが現れたことがある。
人工知能にとって、「『知能』とは何か?」という哲学的な問題に意識的だった者と、哲学的な問題にはいっさい無関心で、ただ実学としてそれの応用を追求する者がいたが、「人工生命」ということになると、「『生命』とは何か?」という哲学的問題に無関心でいるわけにはいかない、新たなムーブメントであった。

人工生命は文字通り、人工的に生命を作る、という技術であるが、大きく二つに分けて考えられる。

「ウェットウェア」と「ドライウェア」である。

「ウェットウェア」とは、タンパク質のレベルから人工的に生命体を創りだそうとする試みで、タンパク質をコンピュータの演算に応用する、などといったクレイジーな試みも行われてきたが、これは現段階ではほとんどSFの世界である。
それに対し「ドライウェア」とは、いわゆる人工知能と同様、主にソフトウェアで生命に「見立てた」処理をさせる、というものであるが、ここにはハードウェアによる試みも含まれる。

ここではソフトウェアによる人工生命について説明しようと思う。

先ほども書いた通り、人工生命について考える際には「生命とは何か?」という哲学的問題がつきまとう。
人工生命の分野でこれまで行われてきた「生命」の定義としては、「環境に適応するための最適化を自らおこなう能力を持つ」という、生命にとってのある側面に限定されたものであった。

環境に適応するための最適化を自らおこなう。
これは、生命体の一個体が内部状態が安定するように環境の変化に適応する、ということと、世代交代によってより環境に適応できるように進化する、というダーウィンの進化論に基づくものがある。

ここで前回説明を試みた、「遺伝的アルゴリズム」が登場する。
人工的に「個体」と見立てられたある人工生命体は、その形や動き、性格を表す無数のパラメータを持つのだが、それらは、その個体が置かれた環境に合う/合わないというものがある。

たとえば1万個の人工生命体が放たれた「人工野原」に「気温」という要素があったとする。
1万個のそれぞれの人工生命体は、その性質として、最初に「最適温度」というものが適当に与えられる。
ある個体はそれが20度で、ある個体は5度となっていたりする。
もしその人工野原の気温が20度であったとすると、最適温度が5度に設定された個体にとっては不利となり、やがて滅びることになる。
気温が20度という人工野原において、生き残った人工生命体は、その環境にとって「優性」であり、 滅びることになった最適温度が5度だった個体は「劣性」ということになる。

人工野原に生き残った「優性」の個体は、次の世代を作り出すチャンスが与えられる。
遺伝的アルゴリズムの際に説明した「交配」である。
人工野原に生き残った優性な個体を両親に持つ新たな個体が生まれることになる。
これを繰り返すことによって、人工野原はその環境に適応できたものだけで埋めつくされるようになる。

あるいはもうすこし複雑な問題として、各個体に「肉食性」というパラメータを与えたとする。
肉食性というパラメータ値が高い、すなわち肉食生物は、盛んに他の個体を食べることで生命を維持しようとする。
一方肉食性パラメータ値が低い、草食生物は、植物(単純化のためにこれはこの人工野原内の生物とはせず、環境から与えられるもの、とする)から栄養を摂取し、肉食生物に捕食されることがある。

この条件では、世代交代を繰り返すうちに人工野原は肉食生物で埋め尽くされるように思ってしまいがちだが、自然界の生態系と同様にそうはならない。
肉食生物が草食生物を食べ尽すことにより草食生物が滅びることになると、肉食生物も滅びることになる。
肉食生物の数が少なくなると、捕食する相手がいない草食生物が増える。
以上により、人工野原には絶妙なバランスで肉食生物と草食生物が存在し続けることになる。

遺伝アルゴリズムは、無数のパラメータの組み合わせから最適解を得るための技術であったが、ここでの「最適」というものが、この環境(=人工野原)への適応力、ということになる。
上記の1つめの例の場合の「最適」とは、気温20度を最適温度と感じる生命体であり、2つ目の例では、肉食生物と草食生物の絶妙なバランスのことを指す。

つまり、「最適解」という正解が、人間によって恣意的に与えられるのではなく、環境の中での優性/劣性により選択されていく、ということである。

ここで我々が気づくべきことは、人工野原に適応する人工生命体が、そこに適応するように進化する、というシミュレーションは、我々にとって何の役にも立たない、ということである。
つまり、人工生命の研究というものは実学としてはあまり考えられることがなかった。
これも瞑想するコンピューターだったわけである。

【今回のまとめ】
  • 人工生命にはウェットウェアとドライウェアがある。
  • 人工生命体は遺伝的アルゴリズムによって世代をまたいで進化することで環境に適応していく。
  • 人工生命の研究は、実学としてはあまり考えられることがなかった。


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